一般社団法人日本蛋白質科学会

日本蛋白質科学会は蛋白質に関する科学研究を推進します

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ホーム 日本蛋白質科学会ニュースレター Vol. 26 No. 9

第26回日本蛋白質科学会年会(鳥取) ポスター賞受賞者コラム

日本蛋白質科学会ニュースレター Vol. 26, No. 9 (2026) 発行日 2026年10月6日

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本年度第26回日本蛋白質科学会年会(鳥取)におけるポスター受賞者の方から原稿をいただきましたのでここにお知らせします(演題番号順)。

日本蛋白質科学会 役員会

1P-005 武川 祐一郎(北海道大学)

武川 祐一郎(北海道大学)

この度は第26回日本蛋白質科学会年会にてポスター賞をいただき,大変光栄に思います。審査員の先生方をはじめ,学会関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。

ウイルスが宿主免疫を回避する機構を理解することは,ワクチンをはじめ,ウイルスに対抗する手段を開発するために不可欠です。本学会では,狂犬病ウイルスがウイルスP蛋白質を用いて,免疫を活性化する宿主シグナル伝達蛋白質を阻害する機構について発表いたしました。P蛋白質はよく似た2種類のシグナル伝達複合体を標的としますが,我々は電顕構造や相互作用解析から,P蛋白質がこれら2種類の標的を識別する分子基盤を示しました。

発表では鋭いご質問を数多くいただき,熱い議論を交わすことができたため,とても楽しい発表となりました。また,時には厳しくも温かいご指摘をいただき,今後の課題を認識することができたため,収穫の多い学会になりました。本学会で得た知見や刺激を糧に,今後も研究に励んでまいります。

最後になりますが,日頃からご指導いただいております尾瀬農之教授,杉山葵特任助教,ならびに尾瀬研究室の皆さまに,心より感謝申し上げます。

1P-006 徳久 歩乃佳(鳥取大学)

徳久 歩乃佳(鳥取大学)

この度は地元鳥取で第26回日本蛋白質科学会年会にてポスター賞をいただけましたこと大変光栄に思います。審査員の先生方、学会関係者の皆様、発表を聞いてくださった皆様に感謝申し上げます。

ユビキチン鎖は翻訳後修飾因子として働き、細胞内制御に重要です。近年、枝分かれ状の分岐鎖の存在が明らかとなり、その制御や機能に関して注目を集めています。

私たちは、分岐点を特異的に切断するUCH37-RPN13の分岐・非分岐構造の識別機構について調べています。

本発表では、非分岐鎖の結合部位や、予測された分岐鎖の切断構造について報告しました。また特異性を向上させるのに重要な、分岐鎖に特異的な結合部位や、非特異的な切断を防ぐループ領域を絡めて分子メカニズムについて議論しました。この受賞を励みに、さらに詳細な機構を探究し、論文執筆に向けて邁進してまいります。

最後に、日ごろご指導いただいております佐藤裕介先生をはじめ、永野研究室の皆様に心より感謝申し上げます。また、共同研究者としてMD計算を行ってくださった森次圭先生、ならびに高度な計算結果の解釈において貴重なご助言をいただきました木寺詔紀先生に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

1P-012 吉田 昌紘(兵庫県立大学 / 理化学研究所)

吉田 昌紘(兵庫県立大学 / 理化学研究所)

この度は第26回日本蛋白質科学会年会ポスター賞を頂戴し、大変光栄に存じます。

私はX線結晶構造解析を用いて、黄色ブドウ球菌由来ヘム結合タンパク質IsdAのプロトン化状態の解明を目指しております。病原菌は生存に必要な鉄を宿主のヘムから獲得しており、IsdAは細胞壁中でヘムを輸送する役割を担っています。ヘムの結合・解離には水素結合ネットワークの変化が重要ですが、その詳細は明らかになっていません。私たちはSPring-8で取得した高精度な回折データを用いて、水素原子を含む超高分解能構造を決定しました。ポスター発表では、アポ型とヘム結合型の構造比較、および共鳴ラマン分光解析の結果を報告しました。興味深いことに、理論的なpKaからは大きく異なるプロトン化状態をとっていることが示唆されました。これらの結果から、特定の側鎖が担うプロトン移動によって、安定なリガンド結合が形成される機構を提案しました。本賞を励みに、中性子線結晶構造解析などにも取り組み、リガンド結合に伴う水素原子のダイナミクスの解明に向けて研究に邁進してまいります。

最後になりましたが、日々ご指導いただいております杉本宏先生はじめ、共同研究者の久保稔先生、柳澤幸子先生、および研究室関係者の皆様に感謝申し上げます。

ヘム結合型IsdA
ヘム結合型IsdA

1P-072 阪野 文椛(東京科学大学)

阪野 文椛(東京科学大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会にてポスター賞を賜りましたこと、誠に光栄に存じます。

細胞内で合成される新生ポリペプチド鎖(新生鎖)は、翻訳中からフォールディングを開始します。シャペロンはタンパク質の正しいフォールディングを助ける因子であることが知られていますが、最近、シャペロンが新生鎖と相互作用して、フォールディングの速度や経路を変化させうることが示唆されています。

本研究では、シャペロンの共翻訳的な相互作用が、フォールディング過程およびフォールディング後の天然構造にどのような影響を及ぼすのかという問いに取り組むため、単一のアミノ酸配列でありながら翻訳動態によって複数の天然構造を取りうる変身(metamorphic)タンパク質の一つをシャペロンの基質として用いました。

ポスター発表では、主要シャペロンの一つが対象とした変身タンパク質の構造選択に与える影響に関する研究結果を報告しました。本研究は、タンパク質の天然構造が、アミノ酸の一次配列のみならず、共翻訳的なシャペロンとの相互作用によっても調節されうる可能性を示しています。今後も、細胞内でのフォールディング機構の理解に新たな知見をもたらすことを目指し、研究に取り組みます。

最後に、学会関係者の皆様、ご指導いただいております田口先生、日頃より研究を支えてくださっている博士後期課程の池田刀麻さんをはじめ、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

1P-083 太田 朝貴(大阪大学)

太田 朝貴(大阪大学)

この度は、ポスター賞をいただき、光栄に思います。審査員・学会関係者の皆様、発表にお立ち寄りいただいた皆様に、心より感謝申し上げます。

私は工学・物理学の視点と装置開発から、超音波計測技術の開発に取り組んでいます。アミロイド線維は、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患に関わる蛋白質凝集体であり、形成の種となる微量なアミロイドシードの検出は、疾患の早期診断や病態理解につながると期待されています。今回の研究では、超音波照射条件と溶液条件を最適化することで、多様な蛋白質が共存する生体試料に近い環境でも、パーキンソン病関連蛋白質α-シヌクレインのアミロイドシードを従来法より短時間かつ高感度に検出できました。超音波による凝集反応の制御は、複雑な試料中の微量シードを検出する新たな技術として、疾患の早期診断への応用が期待されます。

現在は、この超音波装置の小型・高精度化を進めています。今後は、アミロイド線維形成をより安定して多面的に解析できる装置へ発展させ、凝集機構の解明や疾患診断に貢献したいと考えています。

最後に、日々ご指導いただいている荻先生、中島先生、共同研究者ならびに研究室の皆様に、心よりお礼申し上げます。

1P-089 山口 理湖(東京大学)

山口 理湖(東京大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきましてポスター賞を授与いただき、大変光栄に存じます。審査員の先生方をはじめ、学会関係者の皆様、ポスターをご覧いただいた方々に厚く御礼申し上げます。

生体内における疾患関連タンパク質間相互作用を阻害する物質は治療薬となり得ることから、近年、創薬研究において阻害剤設計の重要性が高まっています。本研究では、アレルギー疾患に関わるタンパク質間相互作用に着目し、標的タンパク質に強く結合することでアレルギー疾患治療薬となり得る小型タンパク質バインダーの創出に取り組みました。設計には、AlphaFold2等の深層学習ベースのツールを用い、評価スコアの良好な候補を選抜して、実験的に検証を行った結果、高い成功率で標的に強く結合するバインダーの取得に成功しました。このように、理論的設計を導入することで設計の成功率を高めることができ、少ない実験量でも有用なバインダーを得ることが可能となります。今後は、アレルギー疾患治療薬への応用を目指し、結合親和性のさらなる向上に取り組んでまいります。

最後に、日頃よりご指導いただいている新井教授、季高助教、そして研究室の皆様に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

1P-103 室園 晃輝(九州大学)

室園 晃輝(九州大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会において、ポスター賞を授与頂き大変光栄に思っております。審査員の先生方、並びに学会の運営関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。また、ポスター発表にお越しくださった皆様に心より御礼申し上げます。

フラグメント抗体(Fab)は、全長抗体と比べて高い組織浸透性を有することから、薬物やイメージングプローブの送達分子として注目されています。しかし、Fabを部位特異的に修飾するには、一般に遺伝子改変による反応性タグの導入が必要であり、市販抗体由来Fabへ直接適用できる手法は限られていました。

本研究では、微生物由来トランスグルタミナーゼ活性型前駆体(EzMTG)と抗体結合タンパク質protein G(pG)の融合タンパク質を利用することで、市販抗体由来Fabを位置選択的に修飾する手法を開発しました。

本手法は、天然Fabをそのまま利用できる新しい抗体修飾技術として、抗体医薬や分子イメージングへの応用が期待されます。

今回の受賞にあたり、日頃よりご指導を賜りました神谷典穂教授をはじめ、研究室の先生方ならびにお世話になりました多くの皆様に心より御礼申し上げます。

1P-106 伊藤 沙衣(東京大学工学系研究科)

伊藤 沙衣(東京大学工学系研究科)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきましてポスター賞を賜り、誠に光栄に存じます。

本研究では、これまで開発を進めてきたハイスループット熱安定性・結合速度論解析系を活用し、データ駆動型抗体最適化に取り組みました。

約500種類のFab変異体の親和性データを取得し、蛋白質言語モデルを用いた親和性予測モデルを構築することで、高相同性抗原に対する抗体選択性の向上を実証しました。

また、約1,100種類のscFv変異体について熱安定性および結合速度論を解析した結果、熱安定化が結合速度論へ及ぼす影響は抗体ごとに異なり、その背景には抗体固有の抗原認識機構が関与することが示唆されました。

今後は、本解析基盤をさらに発展させ、多様な抗体系や蛋白質への適用を目指して研究を進めてまいります。

最後に、本研究をご指導いただいた津本浩平先生をはじめ、松長遼先生、中木戸誠先生、共同研究者の石川俊平先生、加藤洋人先生、河村大輔先生、そして津本研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

1P-114 青木 斗真(筑波大学)

青木 斗真(筑波大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会にてポスター賞を頂き、大変光栄に思います。また、日頃からご指導いただいている原田隆平准教授にこの場を借りて感謝申し上げます。

ポスターでは、任意のAIモデルで予測されたタンパク質構造からMD計算を行う、新しい自由エネルギー計算手法について発表させていただきました。現在、急速な人工知能(AI)の発展に伴い、実験構造のみならず、多様なタンパク質構造が生成可能になりつつあります。そこで、私はタンパク質の準安定状態間をつなぐ「遷移パス」を任意のAIモデルで高速に予測し、研究室で独自に開発された構造サンプリング手法であるOutlier FLOODing(OFLOOD)法を適用する、AI-Assisted OFLOODを開発しました。

本手法は、構造遷移の始点と終点やバイアスポテンシャルなどの前提知識を一切用いることなく、配列情報のみから賢くタンパク質の構造動態を探索する新規性をもちます。開発した計算手法は、今後ソフトウェアとして公開する予定です。皆様の研究活動にお役立ていただき、生命科学の発展に少しでも貢献できれば幸いです。

この受賞を励みに、これからも楽しく研究を続けていきたいと思います。

T. Aoki and R. Harada, J. Phys. Chem. Lett., 17, 3706–3712 (2026)

1P-105 藤井 貴裕(筑波大学)

藤井 貴裕(筑波大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会においてポスター発賞を賜り、誠に光栄に存じます。審査員の先生方をはじめ、学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

生物の細胞内は、タンパク質をはじめとした生体高分子が高い濃度で存在する混み合い環境にあります。このような環境の下では、タンパク質は自発的に会合しやすく、非特異的な会合による異常な凝集は、時に強い細胞毒性を示します。生物はこのような凝集を防ぐため、細胞内でアミノ酸分子を蓄積させる戦略を取ります。アミノ酸のような小分子はタンパク質表面に吸着し、タンパク質間の相互作用を妨げることで、タンパク質の分散状態を安定に保つことができると考えられています。

このアミノ酸の安定化効果は、古くより研究がなされてきており、そのメカニズムには様々な考え方があります。本研究では、この吸着説を発端に、「なぜアミノ酸の吸着がタンパク質の分散安定化につながるのか」、計算科学的な手法で調べました。本研究から、安定化効果をもたらす上で小分子が持つべき性質などを考えることができました。

最後に、本研究をご指導いただいた原田隆平先生に深く御礼申し上げます。

1P-119 大村 拓登(東京大学)

大村 拓登(東京大学)

このたびは、第26回日本蛋白質科学会年会のポスター賞に選出していただき、ありがとうございました。大変光栄に思います。

本研究では、酵素反応機構を迅速かつ再現性よく解析するため、QM/MM法の量子化学計算部分を機械学習原子間ポテンシャル(MLIP)に置き換える「ML/MM toolkit」を開発しています。

従来のQM/MM法は高精度である一方、計算コストが高く、計算系の構築から遷移状態探索、反応障壁の評価まで専門的な判断を要します。そこで本研究では、高速なQM計算の代替手法であるMLIPを用いたML/MM法を実装したうえで、酵素―基質複合体のPDB構造を入力として、コマンド一つで活性部位の抽出、ML/MMモデル構築、最小エネルギー経路探索、遷移状態最適化、IRC計算、熱化学補正、必要に応じたDFT一点計算までを自動化するツールを開発しました。これにより、これまでより高速かつ容易に、酵素反応機構の解析が可能となりました。

今後は、本ツールをAIエージェントが用いるフレームワークの開発を進め、仮説や構造を起点として、酵素反応機構から生合成経路全体までをin silicoで自動解析できる基盤の構築を目指します。受賞を励みに、本研究を、計算科学と蛋白質科学をつなぐ広く利用可能な解析技術へと発展させていきます。

最後に、本研究を進めるにあたりご指導いただいた、生物情報工学研究室の寺田先生をはじめ、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

ML/MM toolkit

1P-145 手代木 陽介(東京大学)

手代木 陽介(東京大学)

この度は第26回日本蛋白質科学会年会におきましてポスター賞を頂き、大変光栄に存じます。審査員の先生方をはじめ、学会関係者の皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。

今回の発表では、タンパク質の自己組織化過程のシミュレーションに向けた新たなタンパク質モデルとその計算手法について紹介しました。タンパク質の自己組織化は、多数の分子が長時間にわたって相互作用することで起こる現象であり、全原子分子動力学シミュレーションでは計算コストが課題となっていました。

そこで我々は、タンパク質を残基レベルの相互作用点を持つ剛体として表現するモデルCGRigを開発しました。CGRigは、タンパク質の任意の形状と相互作用の異方性を考慮するモデルであり、安定した結合状態や会合過程を再現しました。また、計算の効率化により、数千分子の系におけるミリ秒規模のシミュレーションが可能になりました。今後は、微小管やウイルスキャプシドのような大規模複合体の形成過程のメカニズムの解析を目指してまいります。

最後になりますが、日頃からご指導頂いております寺田教授、および研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

2P-015 片野 真熙(東京大学)

片野 真熙(東京大学)

この度は第26回蛋白質科学会年会においてポスター賞を賜ったこと、誠に光栄に思います。審査員の先生並びに学会関係者の皆様、そしてポスター発表を聞きに来てくださった方々に心より感謝を申し上げます。

私はFoF1-ATP合成酵素(FoF1)に関する研究を行っております。この酵素は生体内でのATP合成の大半を担っている酵素であり、呼吸などにより形成されたプロトン駆動力(pmf)を利用してATPの合成を行っています。

本年度年会での発表では一般的なATP合成酵素と比較して3~5倍程度の極めて低いpmfでのATP合成が可能な低pmf駆動型FoF1について報告させていただきました。Cryo-EM構造解析により、低いpmfでのATP合成を可能にすると考えられる構造的特徴を明らかにするとともに、機能解析により、構造から予測された低pmf駆動能を実際に実証しました。

このように本研究において低pmf駆動型FoF1の分子メカニズムが明らかになった一方、その生体内における役割については依然として不明な部分が多く残されています。今後はこれまでの研究の知見を元に本酵素の生体内での役割について明らかにしていけたらと考えております。

最後に、日頃より指導してくださっている野地教授及び上野講師、そして研究室のメンバーにこの場を借りて感謝を申し上げます。

2P-022 小林 悠人(静岡県立大学)

小林 悠人(静岡県立大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきましてポスター賞を賜り、大変光栄に存じます。審査員の先生方をはじめ、学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

抗がん剤への応用が期待されるタンパク質pierisin-1は、細胞内のDNAをADPリボシル化することでアポトーシスを誘導します。細胞表面の糖鎖に結合して細胞内へ侵入することは知られていましたが、全長立体構造や詳細な細胞侵入メカニズムは未解明でした。本発表では、細胞外環境におけるpierisin-1の立体構造に焦点を当て、X線小角散乱(SAXS)、AlphaFold、および分子動力学シミュレーションの三者を統合した構造解析についてご報告いたしました。本手法によってSAXSデータに適合する全長立体構造の構築に成功し、pierisin-1の細胞侵入メカニズムについて新たな知見を得ることができました。

本学会では専門分野を越えた多くの方々と深く議論を交わすことができ、今後の研究を進める上で非常に有意義な機会となりました。今回の受賞を大きな励みとし、 pierisin-1の機能解明に向けてより一層研究に邁進してまいります。

最後になりましたが、ご指導いただいた橋本博教授をはじめ研究室の皆様、共同研究者の先生方に心より御礼申し上げます。

2P-031 東 朋花(大阪大学)

東 朋花(大阪大学)

この度は第26回日本蛋白質科学会年会におきまして、ポスター賞を授与いただき、大変光栄に存じます。審査員の先生方、並びに学会関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。

私が研究対象とするヨコヅナクマムシは、乾眠と呼ばれる無代謝状態に移行すると、乾燥や極端な温度・圧力、放射線などの厳しい環境への暴露にも耐える「最強の生物」として知られています。この耐性機構に関与するクマムシタンパク質は、生存戦略という観点から生命システムを理解するうえで重要であるだけでなく、医療やバイオテクノロジー分野への応用も期待されています。

本研究では、乾眠状態で発現量が高いものの、構造も生理機能も不明であったミステリアスなタンパク質RvPetiに対し、X線結晶構造解析および機能解析を実施しました。その結果、既知のタンパク質には見られない新規フォールドを示すメタロプロテアーゼであることを明らかにしました。本研究が、クマムシの極限環境耐性のメカニズム解明に向けた一歩となり、またタンパク質ファミリーの多様性を広げることにも繋がるよう、今後も研究に邁進してまいります。

最後になりましたが、日頃よりご指導いただいております井上豪先生、福田庸太先生、そして研究室の皆さまに深く感謝申し上げます。

2P-074 益田 優月(神戸大学)

益田 優月(神戸大学)

この度は第26回日本蛋白質科学会年会においてポスター賞を賜り、誠に光栄に存じます。審査員の先生方をはじめ、学会関係者の皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。

トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)は心不全や末梢神経障害を引き起こす疾患であり、血漿タンパク質のTTRがアミロイド線維を形成することで発症します。これまでにTTRのN末端48残基が欠損した断片が線維形成を促進することが報告されていますが、そのメカニズムにはまだ不明な点が多く残されています。従来この断片は立体構造を持たないペプチドだと考えられてきましたが、私は断片が立体構造を保持しており、全長TTRとの相互作用を介して線維形成を促進すると予想しました。

そこで、本研究では凝集前におけるTTR断片の構造特性に注目し解析を行ったところ、断片は初期状態として高い凝集性を示しますが、その中に、全長の構造特性を引き継いでいる可能性を示唆する特徴を観察しました。また、本構造をターゲットとした薬剤の結合により、凝集を抑制できることも見出しました。これらの知見はATTRの新規治療薬の開発に寄与すると期待されます。

最後になりますが、日ごろからご指導いただいている茶谷絵理先生をはじめ、共同研究者の皆様、そして茶谷研究室の皆様に心より御礼申し上げます。

2P-077 長尾 海星(東京大学)

長尾 海星(東京大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきまして、ポスター賞をいただき、大変光栄に存じます。

本研究では、類似した立体構造を持ちながら、異なるフォールディング機構を示す2つのタンパク質を対象として、統計力学モデルであるWSME-Lモデルの予測性能を検証しました。一方のタンパク質は中間体を経てフォールディングすることが知られているのに対し、もう一方は中間体を形成せずにフォールディングします。WSME-Lモデルによる計算の結果、両タンパク質について実験結果と整合する自由エネルギー地形を再現できただけでなく、遷移状態における残基ごとの構造形成度についても実験値との高い相関が得られました。本研究を通して、類似構造を持つタンパク質間のフォールディング機構の違いを理論的に予測できる可能性を示すことができました。今後は、両者の機構の違いを生み出す相互作用をさらに詳しく解析し、タンパク質フォールディングの統一的な理解につなげたいと考えています。

最後に、ご指導を賜りました新井宗仁教授と大岡紘治特任助教をはじめ、研究室の皆様、学会関係者の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

2P-082 藤塚 健次(神戸大学)

藤塚 健次(神戸大学)

このたびは、第26回日本蛋白質科学会年会にてポスター賞を賜り、大変光栄に存じます。審査員の先生方ならびに学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

パーキンソン病の原因タンパク質であるα-シヌクレインの異常凝集は、液-液相分離による液滴形成を経て進行することが近年注目されています。しかし、流動性のある液滴がアミロイド線維などの凝集体へと変容(老化)する詳細なメカニズムや、生体防御を担う分子シャペロンがその老化をいかにして食い止めるかについては、未だ解明されていない点が多く残されています。

今回の発表では、この液滴の老化過程と、分子シャペロンであるαB-クリスタリンによる抑制効果について報告いたしました。本研究により、液滴老化の実態がプロトフィブリルを介した線維形成過程であることが示されました。さらに、αB-クリスタリンがこの老化の初期段階に作用し、異常凝集への進行を抑制するという新たなメカニズムを提示いたしました。

今後は、今回観察された個々の液滴間における老化進行度の違いに焦点を当てて検証を進め、液滴老化メカニズムのさらなる解明を目指してまいります。

最後に、日頃より丁寧なご指導をいただいている茶谷先生をはじめ、本研究を支えてくださる研究室の皆様や共同研究者の方々に深く感謝申し上げます。

2P-100 朝倉 陽菜(九州大学)

朝倉 陽菜(九州大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきまして、ポスター賞を授与いただき大変光栄に思っております。審査員の先生方、ならびに学会関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する治療には低分子薬を複数種類併用する療法が用いられていますが、完治は依然として困難です。そこで従来の治療薬とは異なる作用メカニズムをもつ、抗HIV抗体が注目されています。

HIVの比較的保存された膜近位領域(MPER)を標的とする抗体は中和活性が低いことが問題となっていますが、我々は抗体そのものに芳香族化合物を部位特異的に化学修飾することで中和活性が向上する事を報告しています。本発表では、部位特異的化学修飾のプラットフォームを確立させるために、先行研究で用いられていたFabとは異なるモダリティであるナノボディでの有用性を示しました。本手法は、新規抗体医薬品の創出に向けた汎用性の高いプラットフォームになることが期待されます。

最後に、日頃ご指導を賜っておりますカアベイロ ホセ先生をはじめ、蛋白質創薬学分野の皆様に心より感謝申し上げます。

2P-108 田村 裕貴(東北大学)

田村 裕貴(東北大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきましてポスター賞を賜り、誠に光栄に存じます。

抗体医薬品の開発において、標的に対する結合親和性を高める「親和性成熟」は、抗体の機能を向上させるための重要な工程の一つです。一般的な親和性成熟化工程では、膨大な数の抗体変異体を作製し、その中から高機能な変異体を実験的に探索するため、多大な時間とコストを要します。そこで本研究では、ファージライブラリーを用いた生体外選択操作における選抜前後の次世代シーケンシング(NGS)データを教師データとした機械学習モデルにより、約1,000万種類の中から親和性が向上した変異体を取得する手法を開発しました。複数変異の組合せ効果を学習できるよう、CDR領域に2残基以上の変異を導入した変異体ライブラリーを作製し、各選択ラウンドにおける変異体の濃縮率を結合機能の代替指標として用いました。これにより、個々の変異体の機能を実測せずに機械学習用の教師データを作製しました。学習済みモデルによって予測された変異体を実験的に検証した結果、野生型と比較して最大約100倍の結合親和性向上を示す変異体を取得しました。今後は、異なる抗体や低親和性抗体にも応用し、低コストで汎用的な抗体成熟基盤の構築を目指します。

最後に、日頃ご指導いただいております梅津先生をはじめ、中澤先生、伊藤先生、研究室の皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

ML-assisted affinity maturation workflow without Functional assay
ML-assisted affinity maturation workflow without Functional assay

2P-148 前田 皓丞(北海道大学)

前田 皓丞(北海道大学)

この度は第26回蛋白質科学会年会において、ポスター賞をいただけましたこと大変光栄に思っております。審査員の先生方、並びに学会関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。

私の研究対象である不凍タンパク質(Antifreeze protein, AFP)は、低温環境に生息する生物が産生し、氷結晶に結合してその成長を抑制するタンパク質として研究されてきました。さらに4℃の非凍結条件下においても、多様なAFPが哺乳類細胞の細胞死を抑制することが報告されていますが、その作用機構はほとんど明らかになっていません。本来は氷結晶への作用で知られるタンパク質が、凍結しない4℃の環境において哺乳類細胞を保護するという現象に興味を持ち、その分子機構の解明を目指して研究を進めています。

本発表では、AFPと哺乳類細胞との相互作用に着目し、細胞内への取り込みや細胞内局在について解析した結果を報告しました。当日は今後検証すべき課題について多くの示唆をいただき、大変有意義な時間となりました。今回の受賞に満足せず、今後も日々怠らず研究に精進して参りたいと思っております。

最後に、日頃よりご指導いただいております相沢智康先生、新井達也先生、津田栄先生をはじめ、蛋白質科学研究室のメンバーならびに共同研究者の皆さまに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

2P-151 伊藤 敦之(千葉大学)

伊藤 敦之(千葉大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会におきましてポスター賞を賜り、大変光栄に存じます。審査員の先生方をはじめ、学会関係者の皆様、ならびにポスター発表をご覧いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

私は、薬物排出輸送体P-glycoprotein (P-gp)の構造遷移を利用した基質・阻害剤判別法の開発に取り組んでいます。P-gpは多くの薬物の体内動態に関与する重要な輸送体ですが、候補化合物が基質か阻害剤かを従来法で明確に判別することは困難でした。本研究では、P-gpの構造変化に着目し、Blue Native-PAGEによる構造解析とATPase活性測定を組み合わせることで、基質と阻害剤を判別できる新たな評価系を構築しました。

今後は、本評価系を他のABCトランスポーターにも展開し、より汎用的な輸送体評価法として発展させることを目指しています。今回の受賞を励みに、創薬研究への貢献を目指して研究に邁進してまいります。

最後に、本研究をご指導くださいました村田武士教授、斎藤哲一郎教授をはじめ、村田研の皆様に心より感謝申し上げます。

2P-154 小西 雄大(京都産業大学)

小西 雄大(京都産業大学)

この度は、第26回日本蛋白質科学会年会においてポスター賞を賜り、誠にありがとうございます。

本研究では、ER・脂肪滴・ミトコンドリアに局在するタンパク質Hfd1について、その局在化機構と生理的意義を解析しました。Hfd1は、コエンザイムQ生合成やスフィンゴ脂質代謝で生じるアルデヒドを分解する酵素です。これまで、Hfd1が基質に作用する仕組みは明らかにされていましたが、なぜERやミトコンドリアに局在するのか、その意義は不明でした。そこで、Hfd1の局在化に必要なアミノ酸配列を同定し、局在化シグナルの改変によりオルガネラごとの機能を解析しました。その結果、Hfd1がミトコンドリアの膜透過装置TOM複合体とその品質管理因子であるUbx2と相互作用することを明らかにしました。このことから、Hfd1がミトコンドリア外膜上でミトコンドリアタンパク質輸送または品質管理機構に寄与することがわかりました。

今後は,Hfd1がミトコンドリアにおいて果たす役割の詳細な分子メカニズムやER、脂肪滴にも拡張した機能解析に取り組んでいきたいです。

最後に、本研究を発表するにあたり、遠藤斗志也教授をはじめ、多くの方々にご助力いただきました。心より感謝申し上げます。

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山下 敦子(大阪大学・蛋白質研究所)
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